2009年2月22日
ヒラリー東アジア歴訪では訪中がやはり最重要
ヒラリー・クリントン国務長官が東アジア4カ国(日本、インドネシア、韓国、中国)歴訪の旅を終えた。オバマ政権発足後の首席閣僚(国務長官)の最初の海外旅行がアジア、しかも最初の訪問国が日本、ということで、日本政府もメディアも手放しの歓迎ぶりだったが、単純この上ない。日本人は形式的におだてておけばよい00という米政府首脳の打算が見え見えだ。
日本は何かと中国と張り合い、米国がどちらを重視するかに過敏なまでに反応する。1997年ビル・クリントン大統領が日本を素通りして中国に1週間以上滞在、中国重視の外交を繰り広げたことがトラウマとして残り、Japan bassing (日本たたき)から Japan passing(日本無視)の扱いを受けたと自虐的に嘆いたものだ。
しかもヒラリーは、大統領選挙戦のさなかに米誌『フォーリン・アフェアーズ』に寄稿して米中関係の重要性を強調、選挙運動中、彼女もオバマ候補も日本に対する言及はほとんどなく、新政権発足後も米中関係重視の姿勢は変わらないものと予測された。
それだけに、ヒラリーがまず訪日、しかも滞日中、24日の麻生首相の訪米日程を発表、オバマ大統領がホワイトハウスに招く最初の外国首脳が麻生氏だということで日本重視のジェスチュアを示したので、まさに日米蜜月ムードが盛り上がったが、あれもこれもまさしく形式だけの話。ヒラリー訪日は内容空疎、彼女は単に過密スケジュールを淡々とこなしただけだった。情報によると、日本訪問で有益だったのは小沢民主党党首との会談だけだとだ語っていたという。
4カ国歴訪では、やはり訪中が最大の成果だった。経済・安保のほかに気候変動でも米中閣僚級対話の定期的開催で合意した。CO2排出国第1位と第2位の米中両国が地球環境問題と真剣に取り組む姿勢を見せた効果は大きい。ヒラリーは1995年、北京が開催された世界女性会議に現職大統領夫人として出席、「(産む産まないの)女性の権利こそ人権そのもの」と演説して中国の”一人っ子政策”を暗に批判したが、今回は人権問題は全く持ち出さず、対中配慮を示した。
東アジアにおける最大の懸案が朝鮮半島非核化をめぐる米朝交渉であり、北朝鮮がミサイル発射の準備を進めている現状では、オバマ政権が北朝鮮と太いパイプをもつ中国を最重要視するのは当然のことだ。現在の日本と韓国には北朝鮮に対する影響力は全くないからだ。