2010年2月20日
尻すぼみの鳩山内閣「普天間基地移設」構想
平野官房長官は、20日、仲井真沖縄県知事との会談で、「普天間問題の解決はベストではなく、ベターになるかもしれない」と発言した。これは、「県外・国外移転がベスト」とする知事の要求に答えたもので、暗に「沖縄県内移設で解決」を提示したものと解される。
鳩山首相は「あくまでもベストの解決策をさぐる」と強気の姿勢を崩していないが、県外・国外移転はもはや絶望視されており、国民新党が提案しているキャンプ・シュワブ(辺野古)の陸上基地建設、ないしは隣接のキャンプ・ハンセンへの移設以外に、移設先は存在しないようで、万策尽きたというのが現状のようだ。
グアム、サイパンなどの国外移転案は米側がことごとく拒否しており、県外候補地もどこも受け入れる自治体は存在しない。鳩山内閣は「米国との対等な同盟関係」を掲げてスタートしたが、結局、普天間問題では構想倒れに終わり、首相のリーダーシップ不足を露呈した。
平野官房長官は、辺野古を擁する名護市長選における「受け入れ拒否」の稲峯候補当選後のコメントで、地元の意向に法的に縛られるものではないという趣旨の発言をしていたが、これは、すでに”戦線撤退”の意思表示だったのだろう。
鳩山首相は「全力を尽くしたが、代替地が見つからなかった」として、沖縄県民に謝罪してケリをつけることになるようだが、内閣支持率はさらに低下し、民主党政権のガヴァナンス(統治能力)に対する国民の失望はいっそう深まるだろう。問題は、あくまで「県外・国外」を主張する社民党の動向だ。現状に妥協して閣内に留まれば支持層の社民党離れは加速、かといって連立を解消すれば孤立の道を歩むことになるばかりだ。
一連の騒動で浮き彫りになったのは、在日米軍基地存続を既成事実として受け入れ、基地を不要とする環境作りに外交努力を傾注する姿勢の欠如だ。米海兵隊の駐留継続がはたしてどれだけ必然性のあるものかを問い直し、普天間の代替地を不要にするにするために、日本には何が求められ、どうすればいいのかの根本を論じるべきだ。
米国は海兵隊の駐留も「抑止力」と称し、具体的には朝鮮半島の混乱と中台紛争をあげるが、どれだけ現実性のあるものか疑問である。海兵隊そのものは、米人救出などのための緊急出動が主目的であり、「抑止力」ではない。