2008年1月15日
李明博新政権の対「北」支援は不変、金正日総書記は訪韓せず
李明博・韓国次期大統領は、14日、北朝鮮に対する経済協力事業の見直しを示唆したが、若干の手直しはあっても、大幅後退、ないし支援中止はあり得ない。サムスン・グループの李健熙会長の「韓国サンドウィッチ論」を待つまでもなく、北の安価で、質の高い労働力の活用こそ、韓国経済の再生と国際競争力強化のためには不可欠なのだ。同時に、「北」支援は韓国にとっても最高の安全保障でもある。
李明博氏は、南北経済協力継続の条件として、北に核廃棄を迫ったが、核問題に関しては、北は韓国の主張など聞く耳をもたない。そのことは韓国の歴代政権も十分心得ているが、大義名分として掲げておかざるを得ないのだろう。核は、北にとって対米交渉の貴重なカードだ。最終的に廃棄に踏み切るかどうかは、ブッシュ大統領が、テロ支援国家指定を解除し、さらに米朝国交正常化に応じるかどうかの決断にかかっている。核廃棄にともなう検証に要する時間を考慮すれば、春先までが決断の限界になる。そうでないと、ブッシュ在任中の朝鮮半島非核化は実現しない。
李氏はまた、次の南北首脳会談開催地としてソウルを提案し、金正日総書記の訪韓を促したが、実現性はない。金総書記は、北朝鮮こそ朝鮮半島における唯一の正統政権であると自負しており、歴代韓国大統領が就任したらまず「平壌詣で」をするのが当然と心得ている。しかも、対「北」支援の見直しをちらつかせて、会いに来いなどと言われたのでは、とうてい受け入れ難い。ソウル開催が実現するとすれば、同じ大統領との二度目の首脳会談以降だ。