2008年8月27日
「無能力化」中断はあくまでも駆け引き
北朝鮮は、寧辺の核施設の「無能力化」作業中断を発表し、実施したが、これはあくまでも駆け引きで、本気でぶち壊す意図はない。作業中断は、米国が「テロ支援国家指定解除」を、ブッシュ大統領の決定後45日たち、発効期日が来たにもかかわらず、実行していないことに抗議したものだが、あくまでも”条件闘争”をしているにすぎない。
米国が解除の実施を引き延ばしているのは、北が申告した核計画の「検証」にこだわっているためだ。北朝鮮の核開発はすべて軍の管轄下にあり、軍内部に「検証」に対する抵抗があるのは事実だ。もとより軍部を抑えられない金正日総書記ではないが、できる限り抵抗して軍部を納得させようとしているものと思われる。
北朝鮮がブッシュ政権を見限って、交渉中断を決意したという見方は誤りだ。双方とも交渉中断による損失は測り知れないものがある。北としては、功を焦るブッシュ政権から最大限の譲歩を勝ち取って合意を採りつけておいた方が得策と読んでいる。それに途中まで進んでいる「無能力化」作業を中断して大損をするのは北朝鮮の方だ。寧辺の核施設の修復と再開には膨大な費用と時間を要する。要するに、手持ちのカードを極力、有効に使おうとしているわけだ。