2008年9月01日
福田辞任で拉致解決も日朝国交正常化も遠のく
福田首相は、1日午後9時30分、緊急記者会見で辞任を表明した。後任が麻生幹事長になるのは既定の事実。民主党は小沢代表再選が内定しているが、自民党は総裁選に突入し、そのあとの衆院解散・総選挙実施は必至。今後数カ月、日本の政治は戦後最大の転換点を迎えることになろう。
日朝関係はこれで再び凍結状態になる。北朝鮮は、小泉訪朝の仕掛け人である元官房長官・福田康夫の首相在任中に拉致問題を”政治決着”に持ち込み、「日朝平壌宣言」を履行させ、国交正常化早期実現、大型経済協力獲得を狙っていたことは事実だ。
福田首相も、就任時に「自分の手で拉致問題を解決したい」と決意を語り、外務省人事も藪中次官、佐々江審議官、斉木アジア大洋州局長と”北朝鮮トリオ”を揃えて布陣を強化し、水面下の交渉を指示、日朝関係打開をさぐってきた。それが、米朝関係の進展に歩調を合わせて6月の実務協議再開、8月の拉致「再調査」をめぐる合意にたどり着いたわけだ。
しかし日本側が満足する拉致問題の”解決”はあり得ず、首相決断の”政治決着”しかない。北はひそかに福田に期待していたのだ。麻生は、安倍元首相と同類で、”徹底究明”派だ。ダークホースとされる小池百合子も同じ。将来、日朝が動くとすれば、米朝関係が前進し、ワシントンから強力な外圧がかかるケースしかあり得ない。
その米朝が「申告」をめぐる検証問題で対立して停滞。ブッシュ政権も、グルジアをめぐる米ロ対立などで、朝鮮半島に対する関心を急速に失っている。朝鮮半島非核化は再び長期戦の様相を呈してきた。というわけで、日朝国交正常化も遠のいた。