１０月２６日から３０日まで、中国山東省の青島（チンタオ）で開催された「国際安全保障に関する北京セミナー」に招かれ、出席してきた。李華教授が理事長を務める科学・安全保障研究所〔北京〕ほか中国軍縮平和研究所、中国国際問題研究所など５団体の共催で２年ごとに中国各地で開催されているもので、今回は１５カ国から１４０人の学者・研究者が参加した。

核不拡散問題が議論の中心で、オバマ米新政権が核軍縮に真剣に取り組むよう要望する意見が強く打ち出された。朝鮮半島非核化も大きな関心事で、（１）北京の６者協議を軌道に乗せ、引き続き北朝鮮の核廃棄を「同時行動の原則」で実現すべきこと　（２）そのためには経済・エネルギー支援、軽水炉供与、さらに米朝・日朝国交正常化を履行すべきこと　（３）日本は拉致問題を交渉の「入口」におかず、核廃棄と同時に包括的解決を図るべきことなどの点で参加者のコンセンサスが存在していた。

日本では、北朝鮮があくまでも核廃棄には応じないという悲観的な見方が強いが、セミナーでは、姜政敏スタンフォード大学教授、尹仁東モンテレー国際問題研究所研究員らが、北朝鮮にとって核はあくまでも交渉カードであり、金正日総書記は体制存続の保証が確保できたと判断すれば必ず廃棄に応じるという判断を示した。

私も同意見であり、日本の学界・言論界の判断がいかに偏っているかを再確認した。