2009年1月20日
深い傷跡を残したイスラエルの軍事行動/ガザ地区に訪れた平和の意味
イスラエルとハマスがともに停戦を発表、ガザ地区に1月18日ようやく静寂が訪れたが、この間、国際社会の沈黙、とくに潘基文・国連事務総長はじめ、フランスのサルコジ大統領、エジプトのムバラク大統領ら、仲介役の無力ぶりが目立った。政権交替期の米国が事態を静観し、放置したからだ。
昨年12月27日の本格的戦闘再開以来3週間のイスラエル軍の攻撃で、パレスチナ住民の死者は1300人以上に達し、負傷者は5000人を超えた。このうち半数近くが子どもと女性だとされている。
この間、イスラエル軍は、国際法違反である白リン弾を使用し、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の事務所とUNRWAが運営する学校を破壊するなど、横暴の限りをつくした。ハマスも同罪だが、国連安保理が採択した即時停戦決議は無視された。
問題は、イスラエルというユダヤ民族国家を認めないハマスという勢力が、2006年のガザ地区における選挙で合法的に勝利をおさめ、政権を掌握したことにある。今回のイスラエルの軍事行動でハマスのロケット発射基地が破壊され、ロケット砲の密輸ルートになっていたエジプトとの間の地下トンネルが閉鎖されるにせよ、武力で平和を築くことはできない。パレスチナ住民の怨念は深まり、ハマス復活の温床は残ったに違いない。
20日に就任したオバマ新政権がいかなる打開策を打ち出すか、2月10日のイスラエルの総選挙結果はどうなるかがさしあたって注目される。