2009年6月30日
日韓合意の「5カ国協議」は全く無意味/日朝対話の道をさぐれ
麻生首相と李明博大統領は、6月28日、東京における日韓首脳会談で、北朝鮮への対応における連携強化を再確認するとともに、「5カ国協議」開催を検討することで合意したが、全く無意味で不毛な合意である。
日韓の共通点は、ともに北朝鮮との対話の糸口をみずから絶ち、朝鮮半島非核化、北東アジアの平和と民族共生に何の影響力をも持ち得ず、麻生首相も李大統領も両国民からそっぽを向かれ、支持率が低迷していることだ。李大統領は、東京に立ち寄る前のワシントン訪問で、米国の「核の傘」の明示的な保証をオバマ大統領から取りつけたが、これは朝鮮半島の緊張を高める結果にしかならないだろう。
北朝鮮抜きの「5カ国協議」開催は北朝鮮包囲網の強化に他ならないが、中国が賛成するはずはなく、オバマ政権も乗り気ではない。日本の外務省も慎重だったが、韓国に押し切られ、麻生首相が同調したようだ。外交音痴も甚だしい。
いま日本に必要なことは、単独制裁を(たとえ部分的にでも)解除して北朝鮮との直接対話のルート復活の道を模索することだ。対米関係が悪化している時は、北が日本に揺さぶりをかけてくる時だ。対話なくして拉致問題の進展はあり得ない。ピョンヤンの金正日後継体制が固まるまでは米朝交渉も始まらないだろう。オバマ政権は当面、静観の構えだ。交渉は長丁場になる。とすれば、日本の出番が遠からずやってくる。それなのに、対米追随・対韓追随の外交をしているのでは情けない。
7月8日からのG8イタリア・サミットで派手なパーフォーマンスを演じ、自分の花道を華々しく飾ることしか念頭にない麻生太郎にはもはや何も期待できない。政権交代後の民主党政権が行き詰まった日朝関係に活路を開いてくれることを期待しよう。