2010年9月23日
尖閣列島をめぐる日中衝突の長期化は日本に不利
尖閣諸島における中国漁船拿捕をめぐる日中衝突の長期化は日本に不利に働く。日本は法治主義を貫き、冷静に対処しているのに対し、中国は国家の意思が優先、民意をいかようにも左右できるからだ。尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的に自明の理だが、領有権を主張する中国・台湾には通じない。国民世論を刺激して反日運動に結び付けるのは容易であり、格好の口実になるからだ。小泉首相(当時)の靖国参拝抗議に端を発した2005年の日本の国連安保理常任理入りに対する反対運動が記憶に新しい。この時は中国政府が背後から扇動した。
日中間の民間交流事業が次々に中止されている。出発の前々日に急に訪中予定の中止を通告された1000人規模の日本の青年団もある。最近、富裕層を中止に急速に伸びていた中国人の日本観光ブームにも「待った」がかかり、国内の業界は悲鳴をあげている。中国の場合は、上部機関のツルの一声で中止あるいは延期が決まる。日中経済は相互依存の度を深めているが、これすらも中国政府の意向次第で先行きは大きく変化する。
法治主義の原則を貫くのは大事だが、最大の眼目は日中友好の維持だ。温家絵宝首相が繰り返し要求している日本の海上保安庁当局が逮捕した中国人船長の釈放くらいは、大所高所からの判断として決断すべきであろう。