北京で再開された米朝協議で、北朝鮮側は栄養補助剤２４万トンと引き換えにウラン濃縮の一時凍結に応じる意向を表明した。問題は、従来開発し、生産したプルトニウムはどうなるのか、また合意履行にどの程度の透明性が確保されるかという点だ。北朝鮮としては、栄養剤よりも、より多くの食糧、とくに穀物支援を獲得したい、さらに過去半世紀以上、休戦協定のままの状態にあるのを、米国との間に「平和条約」を締結し、国交正常化に持ち込みたいというのが究極の目標だ。それに対し、米国は北朝鮮に核開発を放棄させたいというのが当面の課題だ。双方の距離はまだかけ離れているが、食糧支援と濃縮停止がその第一歩となることを期待し、合意の履行を見守りたい。

米朝協議がとりあえずの目標達成につながることをとくに期待したい。

軍部ｎ保守派に取り囲まれた発足したばかりの金正恩体制が核廃棄に容易に応じるとは思えないが、正恩をとりまく実力者のなかには、張成沢のような外資導入に熱心な開明派・国際協調派もいるとされており、正恩は両勢力のバランスの上に立って存在感を示しているようだ。米朝合意の履行状況を見守りたい。

今年は米韓両国で大統領選挙の年だが、これらに先立って南北対話が再開され、北東アジアに平和が訪れ、緊張緩和が実現することがあわせて期待される。そうしたなかで、日本だけがカヤの外にあって、北朝鮮に単独制裁を継続し、実現不可能な拉致問題解決策を主張していることは許されない。論より証拠、過去あしかけ１０年、何の成果もないではないか。日本は対北朝鮮敵視政策を再考すべき時だ。