2012年1月12日
金正日体制は徐々に変質し、金正恩体制は長期的には消滅
金正日死去から1ヵ月が経った。軍事優先の「先軍政治」は継承され、息子の代になって、金正日体制が変質する気配は当面ないが、父親の死後まだ日が浅く、「金正恩体制」というほどの統治スタイルは確立してはいないものの、指導部は体制確立に躍起になっているようだ。金正恩が2009年5月のテポドン2号発射に経ち合っていたことを公表したり、さっそうと白馬にまたがる雄姿の写真を公開したり、一連の正恩カリスマ化の試みもその努力の一端だ。しかし、正恩の人となりは一般大衆には浸透しておらず、大衆にとっては、食糧配給と日用品支給の方が先決だ。北朝鮮には、食糧生産と消費物資の絶対量が不足している。中国式の改革開放がまず必要だ。そのためには外国資本の導入、外国企業の誘致が不可欠だ。
「先軍政治」が継承されたのは、治安を維持し、国内秩序を保持しているのは軍部であり、軍の動向が北朝鮮の内政と外交の要になっているからだ。中国式改革開放の導入では、金正日の義弟の張成沢(国防委員会副委員長)が成被のカギを握っている。張成沢が北朝鮮式改革をうまく導入できれば、先軍政治も変質し、金正恩体制は事実上、消滅することになるだろう。その場合、政治上の民主化も同時進行で実現せねばならない。中国が内政干渉を嫌う北朝鮮の民族性をうまく取り込んで、漸進的改革を誘導する役割を果たしてくれることを期待したい。
その時は、「金正恩体制」は消滅し、民主化と市民革命が北朝鮮でも実現するだろう。これこそが北東アジアの平和と民族共生に不可欠の要素だ。これらのプロセスが無血・平和裡に実現するなら、万万才だ。