2012年8月09日
広島・長崎「原爆の日」を迎えて
8月6日・9日、今年も「原爆の日」を迎えた。今年、2012年で、67回目となる。祈念式典に参列した松井・田上両市市長は、「住民が放射能障害に苦しむ心配のない」エネルギー源の開発と供給を呼びかけた。明確な「脱原発」宣言、「再生可能エネルギー導入」宣言だ。唯一の被爆都市の首長の提案として当然だ。
同時に両市長は「核兵器廃絶」の必要を訴えた。これも当然である。これに対し、野田首相は「日本が核兵器廃絶運動の先頭に立っている点を強調したが、はたしてそうか。世界はそうは見ていない。日本の安全保障は米国の核抑止力に依存しており、核兵器を含む米国の核戦力に依拠している。沖縄はその前線基地の役割を果たしているのだ。世界が核兵器廃絶に向かっているかどうかも疑わしい。
オバマ米大統領は、就任早々の2009年5月プラハでの演説で核兵器廃絶を訴え、その年のノーベル平和賞を受賞したが、言行不一致で、事態は進展していない。オバマ氏に世界を欺く悪意があったとは思えないが、世界が就任早々の米国大統領の美辞麗句に騙されたことは事実だ。
核兵器廃絶には途方もない時間がかかるだろう。しかし脱原発の方は日本政府の決断で実行できる。ドイツ、イタリア、スイスは先陣をきっている。私は、代替エネルギーの経済性・安定供給性を見極めるまで脱原発は急ぐべきではないという立場だが、再生可能エネルギー開発は大いに力を入れるべきだ。