2012年12月02日
野田首相は外交音痴
野田佳彦首相は、北朝鮮の“人工衛星”発射予告に過剰反応して、今月初旬に予定されていた日朝局長級協議開催延期を決めたが、まったくの愚策だ。協議は日本側が要求していたもので、テーマは北が渋ってきた「拉致問題」だった。野田首相としては、北に対する制裁措置のつもりだろうが、かえって協議の延期を喜んでいるのは北側であり、それだけ時間稼ぎになる。
これ以上、日本側が何を要求しても、日本はあらゆる制裁を発動済みであり、北挑戦としては譲るべきものは何もない。帰って、喜んでいるにちがいない。
制裁というのは、相手が困ることをしなければ何にもならない。今さら、北に発射中止を求めたところで犬の遠吠えに過ぎない。野田首相としては、米国主導の対北制裁にお付き合いをしたのだろうが、何の効果もない。それよりも何か譲歩と思える態度を見せて、交渉の進展につながる意思をちらつかせ、行き詰まり打開を講じるべきだ。
いずれにせよ、キムジョンウン体制を揺さぶるような制裁のカードは日本には何も残っていない。逆に今回こそ発射の成功を祈り、成功したら祝福した方がよい。日本が待望する拉致問題の討議に応じるかもしれない。