2013年2月13日
北朝鮮核実験の隠れた視点
2月12日、中国を含めた世界各国の反対を無視して3回目の核実験を強行した。北朝鮮は実施の大義名分として米国の核攻撃に対する抑止力を挙げているが、米国の脅威は朝鮮戦争当事者として、身に染みて感じている。その点は日本人が軽視しがちだが、北が再三強調しているのは、朝鮮戦争を永久に終結させる平和条約の締結だ。
今年、2013年は朝鮮戦争終結60周年だが、関係国はいまだに「休戦状態」にあり、平和条約(協定)を締結していない。
「休戦」というのは、国際法上、戦争状態にあり、いつでも戦争行為を再開できる状態にある。過去60年間、休戦状態のままというのは常識では考えられない。当事者の怠慢以外の何ものでもない。北朝鮮は過去60年間、一貫して米国に対し平和条約締結を呼びかけているが、米国は聞く耳を持たずに今日まで事態を放置してきた。理由は、北朝鮮が「テロ支援国家」であること、非民主的独裁政権であることなどだが、「テロ支援国家」の指定はブッシュ前政権下に解除されたし、相手政権の実態がどうかは、米国の国益次第で恣意的に判断している。たとえばミャンマーは軍事政権下の独裁国家だが、オバマ政権は国交正常化を進めている。
歴代米政権は、ピョンヤンの政権を信用していないのだ。この相互不信が最大の障害としてたちはだかり、米朝国交正常化を妨げてきたのだ。というわけで、北朝鮮が今後何回核実験を繰り返しても、オバマ政権はピョンヤンとの国交正常化には応じないだろう。結局、ピョンヤンに民主的な新政権が出現するまで、米朝間に春は訪れない可能性がある。北朝鮮が下手に出てワシントンに屈伏しないのもオバマ政権には気に入らないのだろう。しかし、これは民族の矜持だ。出口のないツッパリゲームはいつまでつづくのだろうか。