2009年1月12日
イスラエル軍の白リン弾使用は国際法違反
パレスチナ自治区ガザで負傷者の治療にあたっている医師が、イスラエル軍は人体を焼き尽くす白リン弾を使用していると証言、国際人権団体「ヒューマンライツ・ウォッチ」(本部=ニューヨーク)がこれを問題視してイスラエル非難声明を出した。
白リン弾は可燃性の高い白リンを詰め込んだ焼夷弾で、人口密集地での焼夷弾使用は「特定通常兵器使用禁止・制限条約」で禁じられている。イスラエル軍が白リン弾を使用しているとすれば、国際人道法違反である。
イスラエル政府は、空爆と地上軍投入の目的がイスラム原理主義組織ハマスのロケット砲撃に対する反撃にあり、標的もハマスの軍事施設に限られると繰り返し強調しているが、現地で治療にあたっている外国人医師 (たとえば朝日新聞1月12日付で紹介されているノルウェー人医師マッズ・ギルバートさん) によれば、「病院に収容されている負傷者は全員が民間人だ」という。
イスラエルの狙いがハマス壊滅とハマス支持のパレスチナ全住民の抹殺にあることは明らかで、ガザを完全に制圧するまで軍事作戦を止めないだろう。ブッシュ政権は退陣まであと1週間、オバマ次期大統領も就任前なので発言を自粛しており、お目付け役の米国はいわば権力の空白期だ。イスラエル国民も90%が対ガザ軍事進攻を支持しており、来月10日に総選挙を控えているオルメルト政権には追い風になっている。
イスラエルもハマスも国連安保理の即時停戦決議を無視、フランスとエジプトの停戦仲介も効を奏していないが、私たちは国際世論を頼みとして、イスラエル軍の非人道的行為を一刻も早く止めさせねばならない。