2004年11月04日
ファルージャ制圧でイラク全土が内戦状態に
米軍は反米武装勢力の拠点ファルージャを制圧したと発表しました。ロイター通信によると、武装勢力の死者は1200名、米軍の死者38名、負傷者275名とのことですが、1200名の死者が何を根拠に「武装勢力」とされたのか疑問です。無辜のイラク市民が数多く含まれているに違いありません。
何が何でも来年1月に総選挙を強行するための武力制圧でした。結果は、イラク市民の怒りと怨念を倍増しただけです。米軍は、負傷者救護のための赤新月社の活動も拒否したといわれます。すでにスンニ派の聖職者協会が選挙ボイコットを表明、シーア派も同調の構えで、ボイコットの輪は全土に広がろうとしています。
米軍がファルージャを抑えても、武装勢力は北部モスルに拠点を移して抵抗しています。モスルを抑えればまた次に移り、こうして全土が内戦状態に拡大することになるでしょう。暫定議会選挙実施に備えて、すでに北部を除くイラク全土に60日の間非常事態宣言が発せられています。治安悪化で選挙など行える条件にないことをみずから認めたことになります。
小泉首相は「自衛隊の駐留地域がすなわち非戦闘地域」などという珍答弁で自衛隊派遣延長を目論んでいますが、いまや全土が非常事態、事実上の内戦状態なのです。自衛隊員に犠牲が出るのは時間の問題です。
「イラク特措法」は1年間の時限立法で、同法にもとづく派遣の期限は12月14日です。サマーワ地区の治安維持を担当しているオランダ軍も来年3月に撤退します。当初37カ国が米国にお付き合いをして「有志連合」に派兵していましたが、現在では29カ国に減っています。今後ますます減る傾向です。
日本の国民世論も自衛隊派遣延長に反対しています。11月8日付け『毎日新聞』によると、「延長すべきでない」が51%、「延長すべきだ」が27%。またTBS系JNNの世論調査でも派遣延長反対57%、賛成35%。さらにNHKの世論調査でも延長反対63%、賛成26%となっています。政党では、民主、共産、社民の全野党が派遣延長反対、自民党内でも加藤紘一氏ら有力議員が反対しています。
ここは一度期限一杯で撤退し、治安の回復を待って、本格的な復興支援のためのPKO(平和維持活動)として参加すべきです。日本は来年1月から国連安保理の非常任理事国になります。イラクの治安は、イラクに侵攻した米国が責任をもって回復につとめ、その後あらためてPKO部隊を派遣する方向で、日本は国連安保理で各国に働きかけるべきです。
【2004年11月8日HP掲示。11月15日加筆】