2009年12月22日
2010年は、参院選前後の小沢一郎訪朝で日朝国交正常化に向かう年
昨年12月のボズワース米政府特使の訪朝で、米朝協議が本格化した。
特使は「訪朝は実務的で有意義だった」と述べるにとどまり、過度の楽観論を戒めているが、ピョンヤンで対米外交を仕切ってきた姜錫柱第一外務次官を相手に、米朝双方が2005年9月19日の6者協議共同声明の合意事項を再確認しただけでも意義深い。
共同声明は、?検証可能な朝鮮半島非核化 ?(北に対する)経済・エネルギー支援 ?朝鮮半島における恒久的平和保障措置(→米朝平和条約締結) ?米朝・日朝国交正常化 ?軽水炉提供(のための協議)、以上の5項目を「行動対行動」の「同時行動の原則」で履行することを謳っている。
米朝双方の連絡事務所開設をめぐる、あと1、2回の米朝協議を経て、来年春(韓国情報では2月にも)をめどに6者協議再開にこぎつけるものと見られる。6者協議は上記の各項目の具体化を論じることになる。再開されれば、あとは事務的に進むだろう。米朝ともにタイムリミットがあるからだ。
米国は今年11月の中間選挙を経て、2012年11月にはオバマ自身が再選をめざす。それまでに具体的な外交上の成果が問われる。さしあたり成果が期待できるのは朝鮮半島非核化の道筋だけだ。アフガニスタンも中東も泥沼だからだ。イランの核開発はますます混迷の度を増している。
他方、北朝鮮は金日成生誕100周年、金正日生誕70周年の2012年を「強盛大国の大門が開く年」と規定し、とくに民生安定のための経済再生を最重視している。そのためには、外資導入に道を開く米朝・日朝国交正常化が絶対に不可欠なのだ。日本からの「過去の清算」だけで、総額100億ドル以上の資金が流入するものと推算されている。
さて、そこで日本。日朝関係は小泉訪朝の2002年以来8年間、拉致問題で膠着状態にあるが、昨年来、関係打開を模索する動きが活発になっている。一時は鳩山首相訪朝説が流布したが、その可能性は消えたようだ。
代わりに浮上しているのが、小沢一郎・民主党幹事長の訪朝である。小沢氏は野党時代から日朝関係打開に意欲を見せ(1990年には単独訪朝、金日成とも会見している)、水面下の接触をつづけていたが、最近は、北に対する中国の影響力行使に期待し、拉致被害者情報提供のための再調査に誠心誠意応じるよう北当局を説得している模様だ。
その上で自ら訪朝し、特定失踪者とされる残余の日本人拉致被害者の帰国を実現、国交正常化交渉再開に同意という段取りになるようだ。その前提として、日本政府は単独経済制裁緩和、少なくとも人道目的の「万景峰号92」の入港禁止撤回に応じなければならない。
国内には、拉致被害者家族、「救う会」、拉致議連などの反「北」団体がひしめいており、彼らの抗議行動が予測されるので、政界における強力なリーダーシップに要求される。その条件に応えられるのは、”剛腕”小沢一郎しかいないのが現状である。
訪朝時期は7月の参院選直後が有力だが、米朝・6者協議の展開次第ではその直前もあり得る。