2007年7月21日
北朝鮮は「核廃棄」に応じる
米国が金融制裁解除に手間取り、「2・13北京合意」の初期段階の履行が大幅に遅れたことから、北朝鮮がはたして寧辺の核施設の「稼動の停止」と「封印」に応じるかどうかが注目されていましたが、米国に直接「停止」を通告、朝鮮中央通信も15日この事実を報道、さらに16日、IAEAもこれを確認しました。
あとは現地入りしているIAEA(国際原子力機関)査察官が「封印」作業に取りかかるわけですが、私は当初から、寧辺に関する限り、何の障害もなく、作業は順調に進むと断言してきました。
理由は、(1)クリントン政権下の1994年の「米朝枠組み合意」で双方とも経験ずみであること (2)北朝鮮としては最低限の抑止力として必要量のプルトニウムはすでに備蓄していること (3)すでに20年以上稼動し、途中、凍結期間が長かったことなどから保守点検が不完全で施設が老朽化していることなどです。
今後の焦点は、(1)北朝鮮がウラン濃縮を含む「すべての核計画」を申告し、(2)既存の「核施設」の無能力化に応じるかどうかにかかっていますが、米側が「同時行動の原則」で、北朝鮮に約束した「見返り」を提示するなら確実に進展すると思われます。
「見返り」とは、(A)米朝国交正常化による米朝平和条約締結 (B)テロ支援国家の指定除外による経済制裁解除 (C)軽水炉の提供です。前二者は、ブッシュ政権の「敵視政策」撤廃の具体的措置として、北朝鮮がかねてから主張しているものですが、軽水炉による原子力発電は「金日成の遺訓」であり、金正日総書記としては核廃棄の条件として絶対に譲れない要求です。
韓国は、軽水炉提供には「枠組み合意」履行当時から積極的に協力してきましたが、建設資金の裏づけとして日本の参加が不可欠であり、そのためにも日朝国交正常化、少なくともそのための交渉再開が前提となります。日本がどこまで拉致問題解決一本槍を貫けるか、その帰趨が注目されるところです。
【2007年7月16-21日HP】