2008年2月01日
ブッシュ大統領よ、ネオコンの雑音に耳を貸すな
レフコウィッツ米人権担当特使が「北朝鮮は核廃棄の意思がない」と発言、ブッシュ政権内部の意見対立が表面化している。こうした対「北」不信は米国に当初から存在するもので、珍しいものではない。ブッシュ大統領が対「北」政策を転換していらい1年、人権問題はなおざりにされており、特使は開店休業。このため存在感を示したかったのであろう。
北朝鮮に「核廃棄の意思」があるか否かは、米国のいわゆる「敵視政策」のいかんによる。北はテロ支援国家指定解除を政策転換の証しと見なしており、ブッシュ政権が指定解除の動きを見せていない以上、「全核計画の申告」が正式に提出されないからといって、「核廃棄の意思」がないことを意味するわけではない。
2005年9月19日の6者協議共同声明は、「言葉対言葉、行動対行動」という「同時行動の原則」を確認、明記しており、米朝双方の交渉進展もこれで実現したわけだ。米金融制裁解除で、寧辺地区の核施設稼動停止、重油・エネルギー支援で「無能力化」作業開始、テロ支援国家指定解除で「申告」提出というのが双方の合意の履行だ。
9・19共同声明は、「北朝鮮のNPT(核不拡散条約)復帰、IAEA(国際原子力機関)査察受け入れ」を明記している。北が核廃棄せず、NPT復帰はあり得ない。いま必要なことは、ブッシュ政権が「同時行動の原則」にもとづいて合意を履行することだ。
ブッシュ大統領よ、米朝合意に当初から反対しているネオコン一派に耳を貸してはならない。もちろん北の人権問題は無視すべきではないが、順序として、まずは朝鮮戦争を終結し、核の脅威を除去し、米朝・日朝の国交正常化を実現してからの課題だ。