2008年12月12日
朝鮮半島非核化はオバマ政権に持ち越し/ブッシュ政権の花道ならず
朝鮮半島非核化はオバマ政権に持ち越された。今月8日、5カ月ぶりに北京で再開された6者協議は、北朝鮮の核計画申告の内容に対する検証方法をめぐる米朝の対立を克服できず無期休会入りした。検証のために「試料」(サンプル)採取が不可欠とする点で5カ国の立場は一致したが、北朝鮮だけがこれを拒否。寧辺の核関連施設の「無能力化」と全核計画の「申告」を柱とする非核化「第2段階」は中途半端なまま終わった。
金冠官代表(北朝鮮外務次官)が強硬路線を貫いたのは、北があくまでも核放棄に応じないという意思表示ではない。見返りの経済・エネルギー支援が不十分であるというのは表向きの理由で、核弾頭廃棄を含む「第3段階」以降の外交カードを温存していたいのだ。
北朝鮮はオバマ大統領に過剰なまでの期待をかけている。「オバマが就任早々に訪朝して米朝首脳会談で国交正常化が実現する」と予測する向きもいるが、それは無理。オバマが選挙運動中、「金正日総書記との直接会談で核問題を解決する」と訴えたからだが、最近は「外交の継続性を尊重する」として発言は次第に後退している。オバマ政権にとって朝鮮半島は緊急課題ではない。アフガニスタン、イラク、イラン、パキスタン、グルジア(などをめぐる米ロ関係)の方が政策の優先度からいって、はるかに高い。
6者協議合意の「第2段階」完了後の課題は、米側からすれば核兵器の解体・核物質の完全廃棄の検証をともなう確認作業、他方、北朝鮮からすれば米朝平和条約締結による国交正常化、さらに(見返りとしての)軽水炉の供与だ。
ただし、今回の6者協議でも紛糾したように、「検証」をめぐる合意は時間のかかる難事業だ。核実験を行い、核弾頭まで保有した(と称する)国が国際合意の下で全面廃棄に応じた例は過去になく(南アは自主廃棄)、ことによるとオバマ政権(1期目)の4年間一杯かかるかもしれない。北朝鮮が「行動対行動」の「同時行動の原則」に固執しているからだ。
もう1つ、北朝鮮の主張は「北朝鮮の核廃棄」ではなく「朝鮮半島非核化」だが、北が廃棄に応じ、米朝平和条約が結ばれ、米朝関係が正常化すれば問題は解消する。在韓米軍が居残るにしても核装備の必要はなくなるからだ。韓国については、1992年に盧泰愚大統領(当時)が「核不在宣言」を発表したが、北朝鮮は信用していない。グアムや沖縄の米軍基地から常時持ち込み可能だからだ。“敵対”関係の解消が先決なのだ。