2008年11月28日
朝鮮総連を弾圧しても拉致問題は解決しない
警視庁公安部は、11月27日、「数百人の捜査要員と機動隊を大々的に動員し」(朝鮮総連中央本部発表)、”税理士法違反容疑”で、在日本朝鮮人商工会連合会、同東京都商工会本部を強制捜査した。同公安部は、新宿商工会の元副会長を逮捕したが、それにしては、この種の軽微な罪状とはおよそかけ離れた、常軌を逸した行動であり、これこそ税金に無駄遣いだ。
総連弾圧は安倍内閣退陣以来しばらく中断されていたが、拉致問題に進展の兆しが見えないところから、日本政府の意を受けて警視庁が存在感を印象づけようとしたのだろう。そのことは、公安部が大手メディア各社に事前に通報し、取材するよう要請していることからもうかがわれる。
しかし日本の公権力がいくら総連を弾圧し、在日朝鮮人を迫害しても、それで拉致問題が解決するわけではない。「圧力をかければ(北朝鮮は)折れてくる」というのは幻想であり、錯覚である。理由は、(1)朝鮮民族は圧力をかけられればかけられるほど反発し、反撃してくる本能が強い。(2)総連を弾圧しても本国には通じない。つまり現在の総連にはさほど本国に対する影響力がない。(3)日本人が望む拉致問題の「解決」はあり得ない。――以上3点だ。
商工会一幹部の税理士法違反など、機動隊を動員しなくても摘発し、容疑者を逮捕できる。猿芝居は止めて、拉致問題の現実的な解決策を模索し、日朝関係改善と真剣に取り組むべきだ。