2009年4月19日
「朝鮮半島非核化」とは何か
「朝鮮半島非核化」は「北朝鮮の核廃棄」ではない。
2005年9月19日の6者協議共同声明は「われわれの共通の目標は検証可能な朝鮮半島非核化である」と明記している。日米韓のメディアは、これを「北朝鮮の核廃棄」と同義語と解釈しているが、そうではない。
「朝鮮半島非核化」は、元来、金日成が唱えたもので、米国の核の脅威が朝鮮半島から消滅することを意味する。朝鮮戦争(1950−53)中、マッカーサー米(国連)軍司令官がトルーマン大統領に核兵器使用許可を求めた。実現はしなかったが、内心恐怖におののいた金日成が休戦後、一貫して唱えているのが「朝鮮半島非核化」なのだ。
北にすれば、いくら唱えても米国が応じないので、対抗上、自ら核開発に走ったという経過をたどっている。冷戦終結後の1991年12月、盧泰愚・韓国大統領が「(韓国領土における)核不在宣言」を発したが、北はそんなものはハナから信じていない。それに、在日米軍や第7艦隊に配備されている短距離戦術核は、常時持ち込み可能である。
したがって「朝鮮半島非核化」は、米朝国交正常化によってのみ実現する。国際法上は、過去半世紀以上、休戦状態のままの朝鮮戦争終結のための「米朝平和条約」締結が不可欠だ。
北朝鮮が「強盛大国となり、その大門が開く」2012年までに米朝交渉が(公式、非公式に)本格化し、それを裏書きし、保証する形で北京の6者協議が後追いをする経過をたどるだろう。このままだと、日本は対米追随を繰り返す道しか残されていない。単独制裁延長と強化は、この流れに逆行するからだ。