2009年4月26日
北朝鮮の「使用済み核燃料」再処理再開が意味するもの
北朝鮮は、寧辺の核関連施設からIAEA(国際原子力機関)の査察官を追放したのに続いて、「使用済み核燃料の再処理(プルトニウム抽出)作業を再開した」と発表したが、米国の反応をうかがいながら、計算づくで”危機感”を演出したもので、それ自体が”危機”ではない。”いつか来た道”である。
今回の北朝鮮の措置は、国連安保理における(ミサイル)発射非難の議長声明、それにもとづく北朝鮮の核・ミサイル開発関連の3団体の資産凍結に対抗したものだが、寧辺の再処理施設の「無能力化」はすでに7−8割方進んでいたので、ただちに再処理作業に取りかかれるわけではない。復旧作業にはまだ数カ月はかかり、その間、プルトニウムの備蓄が増えるわけではない。
流れとしては、1993−94年の第1次核危機、2002−03年の第2次核危機に続いて、第3次核危機が訪れつつあるが、オバマ政権が対話に応じて直接交渉を再開すれば、危機は回避される。北としては、オバマ政権相手に一気に米朝国交正常化(米朝平和条約締結)に持ち込みたいというのが本音である。2012年の「強盛大国の大門が開く年」までにはこの目標を達成したいのだ。
米国さえ動かせば日韓は従いてくる。6者協議は中国のメンツを立てて出席するだけの舞台回しというのが北朝鮮の戦略である。圧力一辺倒の日本の対「北」政策が破綻しているのは目に見えている。日本の単独制裁は無益だ。