2009年11月16日
オバマ演説と拉致問題
オバマ米大統領の東京演説は、概して総花的で、4月のプラハ演説、6月のカイロ演説に匹敵するような歴史的意義には乏しい内容だった。北朝鮮問題でも、基本方針の繰り返しにとどまった。ボスワース特使の訪朝の結果待ちということのようだ。
拉致問題については、オバマ大統領が北朝鮮への対話呼びかけの中で触れたことを評価する向きが多いが、決して拉致問題の”解決”を呼びかけたものではないことに注目する必要がある。
オバマ氏は「北朝鮮との完全は関係正常化は、拉致被害者の家族が十分な説明を受けたのちに、はじめて実現する」(Full normalization with its neighbors can also only come if Japanese families receive a full accounting of those who have been abducted.) と述べたにとどまり、決して「解決しない限り実現しない」とは言っていない。「北朝鮮は十分に説明していない」というのが現状認識だ。
「拉致被害者の全員救出」を”解決”の条件とする日本政府の立場がいかに非現実的かを米側は知っているからだ。