2010年2月27日
米朝の駆け引きで再開おくれる「6者協議」
「6者協議」再開に向けて北京で中朝・米中の非公式接触が行われたが、米朝が原則的立場を譲らず、合意には至らなかった。しかし遠からず再開される見通しだ。
北朝鮮から金桂管外務次官(6者協議首席代表)、米国からボズワーズ特使が北京を訪問、議長である武大偉特別代表(前外務次官)を仲介役に、再会のための条件を提示し合ったが、合意は成立しなかった。
北は協議再開の前提条件として、対北制裁を決めた国連安保理決議の撤回ならびに朝鮮戦争終結のための平和協定締結(交渉開始)を主張。これに対し、米国は前提条件なしの協議復帰を要求、対立は解消されなかった。米国は「北の威嚇行為に報償は与えない」という立場で、日韓両国もこの点では足並みを揃えている。
しかし米朝双方ともは昨年12月のボズワーズ訪朝の際、2005年9月19日の6者協議共同声明を再確認、朝鮮半島非核化に同意しており、オバマ政権としても、半世紀以上を経て現在なお休戦状態にある朝鮮戦争を公式に終結させ、米朝国交正常化に応じる意向を示している。問題は、相互不信が強く、その手順をめぐって双方が譲歩していないだけだ。
米朝ともに交渉の期限は2012年だ。金正日総書記は、「(金日成生誕100年、みずからの生誕70周年を迎える)2012年までに強盛大国実現」を人民に公約、他方、オバマ大統領も1期目4年間の任期を終えて2012年11月には再選をめざす。そのために目に見える成果を達成しなければならない。オバマ氏は、昨年4月、プラハ演説で「核なき世界」実現を訴えて以来、何らの実績もあげていないからだ。
北にとっては米朝・日朝国交正常化を通しての経済再生が喫緊の課題であり、オバマ大統領にとっては核不拡散の具体的成果としての朝鮮半島非核化である。米大統領選は11月だが、年初から選挙戦に突入する。北も年初までには高らかに成果を謳い上げ、これを”偉大な首領様”の花道にして三代目への権力継承に道を開こうという思惑がある。
というわけで、逆算すると今年前半が6者協議再開のギリギリのデッドライン(期限)ということになる。6者協議は遠からず再開されるだろう。ヒラリー・クリントン米国務長官は、2月26日、ワシントンでの米韓外相会談のあと、「6者協議再開に向けての兆候があることに勇気づけえらている」と語っている。