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プロフィール

吉田 康彦

吉田 康彦

1936年東京生まれ
埼玉県立浦和高校卒
東京大学文学部卒
NHK記者となり、ジュネーヴ支局長、国際局報道部次長などを歴任

1982年国連職員に転じ、ニューヨーク、ジュネーヴ、ウィーンに10年間勤務

1986−89年
IAEA (国際原子力機関)広報部長

1993−2001年
埼玉大学教授
(国際関係論担当)
2001-2006年
大阪経済法科大学教授
(平和学・現代アジア論担当)

現在、
同大学アジア太平洋研究センター客員教授

核・エネルギー問題情報センター常任理事
(『NERIC NEWS』 編集長)

NPO法人「放射線教育フォーラム」顧問

「21世紀政策構想フォーラム」共同代表
(『ポリシーフォーラム』編集長)

「北朝鮮人道支援の会」代表

「自主・平和・民主のための国民連合・東京」世話人

日朝国交正常化全国連絡会顧問

学歴・職歴

北朝鮮人道支援の会

  • 設立宣言
  • 活動実績
  • 入会申込書
  • 代表・役員
  • ニューズレター

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TOP > その他 > 禁煙の押しつけは反民主主義

2007年11月21日

禁煙の押しつけは反民主主義

 人間は健康を害するものであっても、生活から断ち切れず、逆にそこに快楽と効用を見出している食品や習慣は枚挙にいとまがない。麻薬はいうに及ばず、酒も甘味も大同小異だ。人間はすべてにおいて合理性を備えているわけではない。タバコは、3000年以上前のマヤ文明が発祥の地とされ、コロンブスの部下が欧州に紹介したのが世界的普及の始まりとされている。喫煙は長い歴史をもつ人類の営みであり、文化なのだ。

 愛煙家は喫煙の害を十分わきまえた上で自己責任でたしなんでいる。社会的に害悪を及ぼすのは非喫煙者の受動吸煙だ。これは喫煙場所の隔離、いわゆる分煙で解決できる問題であり、これを徹底すればよいだけの話で、日本の全国民を禁煙にする必要はさらさらない。最近の日本の禁煙運動も禁煙規制も行過ぎている。十羽一からげの全面禁煙があらゆる場所でわがもの顔でまかり通っている。飛行機内は仕方ないとして、列車内はくつろぎの場でもある。しかるにJR東日本は全車全面禁煙にした。東海道新幹線も喫煙車は一両だけになった。タクシーも各地で全車禁煙になりつつある。せめて選択制にして喫煙車を残すべきだ。

 私はタバコをこよなく愛している。緊張後の一服はストレス解消に役立つ。最近、都内の公民館で講演を依頼され、時間があったので喫煙所をさがしたが、全館禁煙だという。仕方なく玄関先に出てけむりを吐いていたら、管理人が飛んできて玄関も館内だと怒鳴り散らす。そこで一歩出て道端で吸っていたら、今度は区の条例で路上禁煙だという。世相が禁煙に傾くと、どこもかしこも禁煙にして愛煙家をまるで犯罪者扱いするのが日本社会だ。まさに禁煙ファッショだ。

 私はジュネーブのWHO(世界保健機関)にも勤務したが、世界的な禁煙運動の音頭をとったのは同機関で、2003年に「世界タバコ規制枠組み条約」が採択され、それ以来、日本中どこもかしこも禁煙になったのだ。国際会議の会議場と執務室を全面的に禁煙にしたのはWHOが始まりである。ところが、そのWHOには最高の喫煙コーナーがある。9階建ての本部ビルの屋上が喫煙コーナーになっていて、愛煙家の部長も秘書も、白人も黒人もアジア人も、レマン湖を見下ろし、モンブランを眺めながらスパスパやっている。風雨をしのぐガラス張りの部屋もある。少数者の嗜好と彼らの権利を尊重する、これこそが民主主義である。

【日本国際フォーラム『百花斉放』2007年11月21日】

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