2007年7月03日
久間防衛相辞任は当然
久間防衛大臣が米国の長崎原爆投下を事実上肯定する発言をめぐる責任をとって辞任しました。参院選への影響を考えてのことでしょうが、当然です。
新聞各紙に掲載された発言要旨をよく読むと、「米国はソ連の参戦の動きを知って原爆投下し、日本の敗戦を早めた。それゆえにソ連の北海道占領が阻止され、日本は戦後のドイツのような国土分裂を回避できた。原爆の長崎投下は、その意味で(頭の整理として)しょうがなかった」という文脈となっています。
問題は、久間氏が「国土分裂」と「国民の生命」を量りにかけ、前者を優先させていることです。政治家の任務は何にも優先して「国民の生命を守ること」にあるはずです。防衛大臣の任にある者として非常識きわまる発言です。
たしかに、ソ連参戦のゆえに、戦後ドイツと首都ベルリンは東西に分裂されたものの、大量殺戮兵器の洗礼は受けずにすみました。それに比べて、日本は国土分裂が回避されたにせよ、広島と長崎で20万以上の国民の命が失われました。ソ連の北海道占領阻止の名目で、米国は日本国民をモルモット代わりに、完成したばかりの核兵器を使って実験をしたのです。日本政府の現職閣僚がこれを追認するよな発言をするとは情けないかぎりです。
久間氏は、ことし1月、ブッシュ大統領のイラク侵攻を批判し、「間違った戦争だった」と発言、"良識ぶり"を示した時には喝采を送りました。それだけに発言のブレの大きさに失望を禁じえません。
【2007年7月3日HP】