2008年3月17日
反捕鯨団体シーシェパードの実力行使に抗議する
私は本欄で、日本の調査捕鯨中止を訴えている。その根拠は、いくら「クジラ資源は絶滅しない。むしろ増えている」という科学的根拠を示して調査捕鯨の正当性を主張しても、所詮は国際社会の認知は得られず、日本の国益に合致しないからだ。それに、鯨肉を食することは日本の伝統的食文化でも何でもなく、消滅寸前の捕鯨業界と水産庁の「遠洋課捕鯨班」が結託して、既得権益を守ろうとしている行為にすぎないからだ。
19世紀までは米国はじめ西欧先進国が捕鯨に従事していたことは事実だ。江戸幕府を開国に導いた黒船も、捕鯨船の寄港地を求めていたからに他ならない。しかし今日、国際世論は哺乳動物であるクジラを殺すことを許さず、鯨肉を食することを野蛮な風習とみなしており、野生動物保護の立場からも、世界の大勢は「反捕鯨」である。捕鯨を日本のナショナリズムに結びつけるのは愚かだ。
ただし日本の調査捕鯨船に危険な薬品を投げつけるというシーシェパードの暴力行為は許しがたい。海上保安官の警告弾発射は正当防衛だ。日本の情報発信機能は弱い。日本政府はあらゆる機会に抗議の声を挙げるべきである。