2009年1月09日
「知日派」は「親日派」とは限らない
1月9日付の『朝日新聞』、その他一部の新聞は、「オバマ政権の駐日大使にハーバード大学教授ジョゼフ・ナイ氏が、国務次官補にカート・キャンベル元国防次官補代理がそれぞれ内定したことを大々的に伝え、両氏が民主党系ではトップクラスの「知日派」であることに注目しているが、「知日派必ずしも親日派ならず」で、「日本重視の表われ」として、手放しで喜ぶのは早計だ。
「知日派」ということは、日本の長所も短所も知り尽くしているということで、日本の”弱み”に付け込んでくる可能性もある。事実、両氏はクリントン政権下で日米安保「再定義」を手がけ、日米同盟強化に辣腕をふるっている。ナイ教授は、ブッシュ政権発足に先立って、リチャード・アーミテージ元国務副長官らとともに提言を発表、日本の軍事的役割強化に期待を表明している。
オバマ政権の外交政策全般を調整するホワイトハウスのNSC(国家安全保障会議)アジア上級部長には、中国通のジェフリー・べーダー氏が就任予定で、同氏はオバマ陣営の外交問題ブレーンの中核だったことから、新政権の東アジア政策は日米・米中関係のバランスをとりながら進められることは確実である。
「親日派」というのは、日本が大好きで、対日関係を最重要視する人物だ。たとえば、フランスのジャック・シラク前大統領。彼は日本文化に心酔し、浮世絵を愛し、大相撲を愛し、日本女性を愛した。G8(主要先進国首脳会議)では、寡黙で口下手な日本の歴代首相に代わって要所要所で口を出して日本に助け船を出し、日本の立場を代弁してくれたという。そんな人物は米政界には見当たらない。強いていえば上記のアーミテージくらいだろう。