2010年1月10日
永住外国人に対する地方参政権付与は時代の流れ
鳩山内閣は永住外国人に地方参政権を認める法案提出を準備しているが、当然であり、遅きに失した感さえある。与野党ともに反対が強く、採否は予断を許さないという。時代錯誤だ。
定住外国人に対する地方レベルの参政権付与は時代の流れであり、歴史の必然である。欧米の主要先進国ではいずれも認めており、隣国・韓国も永住資格取得3年以上のすべての外国人に地方参政権を与えている。
反対派の論拠は、(1)参政権を欲しければ日本国籍を取得すればよい(2)地方といっても米軍基地問題のように国政を左右する議案もあり、国の安全保障を左右しかねない結果になる、というものだが、日本は二重国籍を認めていないので、祖国の国籍放棄を迫るのは視野狭隘の国粋主義だ。国政への影響を懸念するのも杞憂だ。そんな例外的なケースを想定して門戸を閉ざすのは排外主義だ。そもそも在日コリアンや中国人が政府の号礼一下、集団行動をする時代ではない。日韓・日中関係が良好なら日本の安全保障が脅かされる事態にはならない。(北朝鮮支持の在日朝鮮人組織の朝鮮総連は参政権付与を拒否しており、法案でも付与しない方針である。)
1995年の最高裁判決も、傍論ながら、地方参政権付与は憲法違反ではないとしている。
世界は急速にグローバル化しており、日本にも在日コリアン、中国人、ブラジル人をはじめとする90万以上の定住外国人が住んでいる。彼らはわれわれの隣人であり、日本人と同様に税金を納め、日本国民と同様の義務を果たしている。義務を果たさせながら最低限の権利をも与えないのは民主主義の原則に反する。日本列島全体が多文化共生社会なのだ。日本だけがグローバル化の枠外にとどまることは許されない。国内で定住外国人に門戸を閉ざして東アジア共同体を唱える資格はない。「共同体」というのは、ヒト・モノ・カネが自由に流通する地域社会の形成を意味する。