2009年1月31日
ソマリア海賊対策のための海自派遣に賛成
日本政府は現行法にもとづいて海上自衛隊の護衛艦2隻のソマリア沖派遣を決断、浜田靖一防衛相が3月中の派遣をめざして準備を指示した。政治家にリーダーシップがなく、何事にももたもたして即断即決ができないのが日本の特徴だが、決定を歓迎する。
日本の現行法は、はるかアフリカ沿岸における海上警備などは想定しておらず、このため日本船あるいは日本人乗組員しか守れず、武器使用も正当防衛と緊急避難の場合に限られるという制約だらけだ。本来は新法制定が望ましいが、そうなればさらに半年以上遅れることになる。その間、総選挙も予定され、政治の空白が生じることを考慮すれば、現行法による派遣もやむを得ない。
ソマリア沖の海賊対策は、すでに国連安保理がこれまで3回にわたって決議案を採択、とくに08年12月16日の決議は、武力行使を含めてあらゆる手段を講じることを加盟国に要請、これが全会一致で採択されている。この決定を受けて、アジアからも中国、インドが軍艦を派遣、韓国も2月に派遣予定だ。すでに20カ国以上が討伐作戦に参加している。
日本は今年1月から安保理非常任理事国であり、2月は議長国でもある。目に見える貢献が不可欠だ。社民党は、海賊対策に名を借りて自衛隊の海外派兵に道を開くものだとして反対し、ソマリアへの非軍事の人道支援を提唱しているが、ソマリアは無政府状態。武装した要員でなければ人道支援もままならない。
武装・武器使用をいっさい否定しては法と秩序は守れないというのが国際社会の常識である。社民党は、ソマリア派遣が”アリの一穴”となって自衛隊の海外派兵が常態化し、日本が”普通の国”になり、軍事大国化することを警戒するが、私は杞憂だと思う。
私が国連勤務から帰国してまもなく、自衛隊のカンボジアPKO(国連平和維持活動)参加を主張したのに対し、社会党(当時)は議員総辞職までして猛反対した。土井たか子委員長(当時)は「わが子を再び戦場に送るな」と叫んでいた。あれから15年、自衛隊のPKO参加は常態化したが、日本は軍事大国化してはいない。国民はバランス感覚をそなえている。
線引きすべきは、日米同盟にもとづく米軍協力であってはならないということだ。