2010年3月10日
「非核3原則」と米「核の傘」は両立せず/日米核密約暴露の意味
米国の核持ち込みを容認した「密約」の存在が確認され、歴代自民党政権の”偽善”が暴露されたのは、政権交替にともなう鳩山政権の快挙だが、同時に日本政府の「非核3原則」の非現実性と矛盾が問われる結果になった。
米国は冷戦終結後の1991年以降、核弾頭搭載の艦船・航空機を展開しない方針を明らかにしているが、有事の際はその限りではない。したがって、平時に限れば、(核兵器を)「持たず」「造らず」「持ち込ませず」という日本政府の「非核3原則」は守られことになるが、朝鮮半島はじめ、その他の東アジア地域に何らかの有事が発生すれば、核弾頭搭載の艦船・航空機の日本立ち寄りの事態はあり得るわけだ。
日本が日米安保体制下で米国の「核の傘」に依存し、米国の核戦力による拡大抑止の対象になっている以上、致し方ない。広島・長崎の被爆体験があるからと言って、「核の傘」に頼りながら、”有事”の際にも核搭載の艦船・航空機の日本立ち寄りを拒否するのはムシがよすぎる。
いかなる事態に際しても「非核3原則」を貫こうとすれば、「核の傘」から離脱するほかない。「核の傘」に頼らざるを得ないとすれば、「非核3原則」のうちの「持ち込ませず」は諦め、「非核2原則」で行くほかない。双方を両立させるためには、東アジア、さらにアジア太平洋地域に「有事」を作らせないことだ。中国の軍事力増強が”脅威”でなくならない限り、それも無理な話だろう。
民主主義国家では、政府は国民を欺いてはならない。他方、国民も幻想を抱かず、現実を直視して、現実的な選択をする必要がある。理想は理想、現実は現実だからだ。
ちなみに、オバマ大統領は昨年4月のプラハ演説で、「核兵器のない世界」実現を提唱したが、同時に、「同盟国に対する核の傘は守る」「この地球上に核兵器の存在する限り、米国が先に核兵器を廃棄するつもりはない」とも述べており、バランスのとれた核抑止論を展開していることを忘れてはならない。