2009年1月10日
ガザ停戦のためのエジプトの調停に期待する
傷口にあてるガーゼ(ドイツ語)は「ガザ」が語源で、ガザは生地の柔らかい木綿の産地だったという。そのガザでは負傷者続出で、ガーゼも包帯もクスリもすべて不足しているようだ。
イスラエル軍が地上作戦を開始して以来、10日までにパレスチナ人の犠牲者は850人を超え(イスラエルの犠牲者は14人)、戦火は止んでいない。このうち子どもの犠牲者は260人だという。彼らには何の罪もない。人道上許されない。
人道支援物資搬入のために、7日双方はようやく一日3時間の攻撃中断に同意、イスラム原理主義武装組織「ハマス」もロケット砲撃中断に応じた。イスラエル軍がいくら攻撃目標をハマスのロケット基地にしぼっているといっても、日本の淡路島より狭い地域に150万以上のパレスチナ住民が居住している密集地帯である以上、一般市民が殺傷されるのは当然である。
砲撃中断が長期停戦と和平交渉につながることを期待したが、見通しは暗い。国連安保理は8日夜、即時停戦を呼びかける決議案を採択したが、双方とも拒否した。とくにイスラエルが強硬なのは、表決に際して米国が棄権し、全会一致の国際社会の意思とならなかったからだ。来月10日に総選挙を控えて右派の突き上げを受けているオルメルト政権は、退陣まもないブッシュ米政権が現在のハマス殲滅作戦を支持してくれていることを計算に入れているのだ。
せめてエジプトの調停努力に期待したい。ハマスがいくら武装闘争を続けてもイスラエル相手に勝利することは不可能。これから市街戦ともなれば、いたずらにパレスチナ市民の犠牲者を増やすばかりだ。一刻も早く停戦に応じ、平和共存を図った方がよい。
イスラエル側が3時間の攻撃中断に同意したのは、UNRWA(国連パレスチナ救済事業機関)が運営する学校がイスラエル軍の砲撃で被弾したからとされている。日本の新聞はこれを「国連学校」と表記していたが、「国連学校」はおかしい。UNRWAは単に資金を調達して施設を提供しているにすぎない。生徒はパレスチナ難民、教師もパレスチナ人だ。要するにパレスチナ難民のための教育施設であり、犠牲者はほとんどすべて難民の子どもたちだ。