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プロフィール

吉田 康彦

吉田 康彦

1936年東京生まれ
埼玉県立浦和高校卒
東京大学文学部卒
NHK記者となり、ジュネーヴ支局長、国際局報道部次長などを歴任

1982年国連職員に転じ、ニューヨーク、ジュネーヴ、ウィーンに10年間勤務

1986−89年
IAEA (国際原子力機関)広報部長

1993−2001年
埼玉大学教授
(国際関係論担当)
2001-2006年
大阪経済法科大学教授
(平和学・現代アジア論担当)

現在、
同大学アジア太平洋研究センター客員教授

核・エネルギー問題情報センター常任理事
(『NERIC NEWS』 編集長)

NPO法人「放射線教育フォーラム」顧問

「21世紀政策構想フォーラム」共同代表
(『ポリシーフォーラム』編集長)

「北朝鮮人道支援の会」代表

「自主・平和・民主のための国民連合・東京」世話人

日朝国交正常化全国連絡会顧問

学歴・職歴

北朝鮮人道支援の会

  • 設立宣言
  • 活動実績
  • 入会申込書
  • 代表・役員
  • ニューズレター

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イラン・中東
TOP > イラン・中東 > 深刻化するイラクの宗派対立

2006年5月25日

深刻化するイラクの宗派対立

 2006年5月20日、ヌーリ・マリキ首相が議会に提出した新閣僚名簿が承認され、2005年12月の連邦議会選挙実施いらい半年を経て、ようやく正式政府が発足した。

 しかし、閣僚ポストの争奪をめぐって、シーア派、スンニ派、クルド人の宗派対立は克服されるどころか、かえって深刻化した。とくに人口の60%を占めるシーア派に主導権を奪われた少数派(人口の20%)のスンニ派の不満が強く、スンニ派の二大政党のひとつ「国民対話戦線」は政権参加をボイコットした。

 マリキ首相は各派に閣僚ポストをばらまき、ポストの数は40に達した。外相のほかに外務担当国務省も新設され、権限があいまいなままだ。宗派対立のあおりを受けて、内相、国防相、安全保障担当相は空席となり、内相は首相が、ほかの2相は副首相が兼任することになった。前途多難である。

 日本政府は、2005年12月、サマーワ駐留の自衛隊の「撤退4条件」を設け、円満に撤退する準備を進めてきた。第一条件の「政治プロセスの進展」は整ったが、「治安の回復」は実現しておらず、「イラク治安部隊への権限委譲」はスムーズにいきそうもない。協議機関の設置が不可欠だが、訓練の遅れが目立つ。

 サマーワ地区の治安維持を担当している英国軍・豪州軍は6月中の撤退を目指しているが、長引きそうだ。自衛隊のサマーワ派遣は憲法違反であり、イラク全土は事実上、内戦状態にある。一日も早く撤退すべきだ。

 復興支援はイラクの治安回復を待って行えばよい。治安回復の責任は第一義的に米国にある。イラクの治安回復のためには、米国は隣国イランの協力を必要としており、イラン制裁どころではないことを悟るだろう。

【HP2006年5月25日】

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