2005年2月01日
イラク民主化の前途は多難
1月31日のイラク暫定国民議会選挙は、中部のスンニ派住民の居住地域の出足は低かったものの、70パーセント前後の投票率を記録した模様です。自爆テロなど、憂慮された流血事件も予想より少なく、まずは大過なく終了したというべきでしょう。
イラク国民の60パーセントを占めるシーア派の勝利は確実ですが、スンニ派が憲法制定、本選挙実施という今後の作業に協力するか、同じく少数派のクルド族との協調が円滑に進むかどうか、先行きは不透明です。米軍は来年(2006年)以降もイラクにとどまる方針で、今後はイラク軍兵士の訓練に主力を注ぐと予定といわれていますが、それでイラク国内の治安が改善する保証はありません。
いずれにせよ、15万の外国軍隊(その大半が米軍)の厳重な警備の下で、国連はじめ諸外国の選挙監視団が公正な実施を見守ることもなく、強引に予定通り実施された選挙でした。米国が力づくで民主主義を押しつけようとしていることは間違いありません。民主主義を押しつけるといっても、反米勢力の台頭は許さないところに自己矛盾があります。反フセインというだけで、はたしてイラク人が心の底から、米国流民主主義を歓迎しているかどうか、はなはだ疑問です。
【HP2005年2月1日】