2008年9月12日
「米印原子力協定」発効へ‐‐‐NPT非加盟のインド「例外扱い」承認
2008年9月6日ウィーンで開かれた「NSG(原子力供給グループ)年次総会」(加盟45カ国)は、NPT(核不拡散条約)非加盟のインドを「特例」として扱い、核物質・器材の輸出を認めた「米印原子力協力協定」を全会一致で承認した。ブッシュ大統領みずから全力を挙げて協定承認に持ち込み、日本も賛成した。
NSGは1974年インド最初の核実験のあと、これ以上の核拡散を阻止するために核物質と関連器材の輸出禁止を関係国が申し合わせたもので、NPT体制を支える柱となってきたが、インドの「例外扱い」が対立の焦点だった。
NSGの承認で米印協定は最大の山場を越え、このあと米議会が承認すれば発効する。 インドがNPT非加盟国であることが最大の難題で、将来インドが核実験をした場合は協定を無効化するかどうかが焦点となったが、インドは最初から手足を縛られることを拒否、米国も深追いせず、この点は明文化されなかった。その際はNSGが再協議することになっているが、要は印パ関係しだいだ。
インドは隣国パキスタンとは異なり、過去に核拡散に関与した例はなく、もともとNPTが5大国の核保有を容認した「差別条約」であることに抗議して核開発を決断したという経緯がある。核廃絶はインド本来の主張でもある。インドが原発推進することで地球温暖化抑止にプラスの効果も期待できる。
日本の市民団体とメディアはこぞって反対を表明したが、単純にNPT体制堅持を金科玉条にするのでなく、NPTの「差別性」に注目して、インドを取り込んだ形の核軍縮と不拡散体制を推進する方策を論じるべきだ。「NPT至上主義」では問題は解決しない。
【『NERIC NEWS』2008年9月号】