2008年3月27日
日朝打開に動き出す与野党の議員外交/福田首相は模様眺め
日朝関係は膠着状態が続いている。拉致問題をめぐって、とくに日本側が現実的な打開策を見出す努力をしていないからだ。北朝鮮は、米国を動かせば日本はついて来ると判断して米朝交渉に全力をあげているが、「全核計画の申告」をめぐって対立が続いている。福田首相は、それをいいことに、決断を先送りして模様眺めをしている。
昨年12月、自民党外交部会の下に「朝鮮問題小委員会」が結成され、最高顧問に山崎拓、委員長に衛藤征士郎、幹事長に茂木敏充、事務局長に高木毅の各議員が就任した。山崎拓氏は、「米朝は国交正常化に向かっており、福田内閣の下で拉致・核・ミサイルを包括的に解決、日朝国交正常化を実現したい」と抱負を語った。
これに呼応して、野党・民主党にも、2月、「朝鮮半島問題研究会」が発足、会長に岩国哲人、事務局長に川上義博両議員が就任、国民新党からも自見庄三郎議員が加わった。今後、両グループは協議を重ねて、超党派の訪朝団を派遣し、日朝国交正常化実現を視野に入れた議員外交を展開する計画と伝えられる。
かくして、ようやく国会に“受け皿”ができあがったが、日朝関係打開の必要性ではコンセンサスがあっても、拉致問題の“決着”に関しては、必ずしも与野党議員の意見が一致しているわけではない。北朝鮮側が「死亡」と発表している拉致被害者をすべて「安否不明者」と見なし、彼らの救出と生還を要求する“旧安倍路線”を堅持する「拉致議連」の勢力はいまだに侮りがたいものがある。
そうした中で、福田首相の決断が求められているが、米朝が「(全核計画の)申告」をめぐって対立し、北京の6者協議も再開されないままの現状をむしろ“歓迎”して、時間稼ぎをしているのが首相官邸だ。福田首相は「拉致問題は私の手で解決したい」と訴えて政権の座についたものの、決断を先延ばしにして、山崎拓議員の訪朝にも待ったをかけているという。
残念ながら、日本側が望むような「拉致問題の解決」はあり得ない。双方が受け入れられるギリギリの”ウィン=ウィン方式”による”政治決着”に持ち込むしかない。金大中拉致事件も日韓両国の”政治決着”だった。この前例を参考にして、双方の面子と国益に配慮して大所高所から判断すべきだ。福田首相の決断を促したい。
【「北朝鮮人道支援の会」ニューズレターN0.52/2008年3月号】