2009年5月28日
北朝鮮の「核」、小型化・高性能化完成は疑問
5月25日に実施した北朝鮮の2回目の核実験の規模・爆発力についてはまだ地震波による推測だけで定説がなく、キセノン133などの放射能測定の結果などを待つ段階だが、ノドン・テポドンなどの中長距離ミサイルに搭載可能な核弾頭の小型化・高性能化に成功したとは考えにくい。
2006年10月の初回の実験では、4キロトン規模という事前の予告に対し、実際には1キロトン以下の爆発しか起きず、事実上失敗だったとされている。このときの地震波がマグニチュード4.9(気象庁観測)だったの対し、今回は5.3とされ、0.4の差は爆発力にすると4倍に相当するところから、せいぜい4キロトン(以下)という推定が成り立つ。ロシアと韓国の国防省当局者は、長崎に投下された原爆と同規模の20キロトンと推定していたが、地震波からだけでは正確な規模は確定できない。データ収集、計測水準において経験豊富な米当局の精査結果を待ちたい。
いずれにせよ、2度の地下爆発(1度目は失敗)で小型化・高性能化を成し遂げるのは不可能だ。米ロ両国は一時は3万発以上、現在も4−5000発の核弾頭を保有しているが、半世紀の核開発の経験と1032回(米国)、715回(ソ連・ロシア)の実験を繰り返し、データを蓄積した上で小型化・高性能化に成功している。
北朝鮮は前回の実験で2キロのプルトニウムを使用したと発表しているが、米ロの経験では、最少限でも3.2キロ以上のプルトニウムが必要であることが明らかにされている。2キロというのは信じがたい少量であり、失敗を自ら認めているようなものだ。
ミサイルにせよ、核弾頭にせよ、北朝鮮の”脅威”はひとり歩きしやすい。必要以上に過大評価すべきではない。