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プロフィール

吉田 康彦

吉田 康彦

1936年東京生まれ
埼玉県立浦和高校卒
東京大学文学部卒
NHK記者となり、ジュネーヴ支局長、国際局報道部次長などを歴任

1982年国連職員に転じ、ニューヨーク、ジュネーヴ、ウィーンに10年間勤務

1986−89年
IAEA (国際原子力機関)広報部長

1993−2001年
埼玉大学教授
(国際関係論担当)
2001-2006年
大阪経済法科大学教授
(平和学・現代アジア論担当)

現在、
同大学アジア太平洋研究センター客員教授

核・エネルギー問題情報センター常任理事
(『NERIC NEWS』 編集長)

NPO法人「放射線教育フォーラム」顧問

「21世紀政策構想フォーラム」共同代表
(『ポリシーフォーラム』編集長)

「北朝鮮人道支援の会」代表

「自主・平和・民主のための国民連合・東京」世話人

日朝国交正常化全国連絡会顧問

学歴・職歴

北朝鮮人道支援の会

  • 設立宣言
  • 活動実績
  • 入会申込書
  • 代表・役員
  • ニューズレター

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北朝鮮
TOP > 北朝鮮 > 北朝鮮の「核」、小型化・高性能化完成は疑問

2009年5月28日

北朝鮮の「核」、小型化・高性能化完成は疑問

5月25日に実施した北朝鮮の2回目の核実験の規模・爆発力についてはまだ地震波による推測だけで定説がなく、キセノン133などの放射能測定の結果などを待つ段階だが、ノドン・テポドンなどの中長距離ミサイルに搭載可能な核弾頭の小型化・高性能化に成功したとは考えにくい。

2006年10月の初回の実験では、4キロトン規模という事前の予告に対し、実際には1キロトン以下の爆発しか起きず、事実上失敗だったとされている。このときの地震波がマグニチュード4.9(気象庁観測)だったの対し、今回は5.3とされ、0.4の差は爆発力にすると4倍に相当するところから、せいぜい4キロトン(以下)という推定が成り立つ。ロシアと韓国の国防省当局者は、長崎に投下された原爆と同規模の20キロトンと推定していたが、地震波からだけでは正確な規模は確定できない。データ収集、計測水準において経験豊富な米当局の精査結果を待ちたい。

いずれにせよ、2度の地下爆発(1度目は失敗)で小型化・高性能化を成し遂げるのは不可能だ。米ロ両国は一時は3万発以上、現在も4−5000発の核弾頭を保有しているが、半世紀の核開発の経験と1032回(米国)、715回(ソ連・ロシア)の実験を繰り返し、データを蓄積した上で小型化・高性能化に成功している。

北朝鮮は前回の実験で2キロのプルトニウムを使用したと発表しているが、米ロの経験では、最少限でも3.2キロ以上のプルトニウムが必要であることが明らかにされている。2キロというのは信じがたい少量であり、失敗を自ら認めているようなものだ。

ミサイルにせよ、核弾頭にせよ、北朝鮮の”脅威”はひとり歩きしやすい。必要以上に過大評価すべきではない。

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