2009年10月10日
再開間近の米朝対話/再開に向かう6者協議
4月の「人工衛星」(ミサイル)打ち上げ、5月の第2回地下核実験、これらに対する国連安保理制裁で高まった朝鮮半島をめぐる緊張は、米朝、南北、中朝の対話復活で収束に向かい、本格的米朝交渉開始は秒読み段階になった。このあと6者協議再開につながるかどうかが注目点だ。最近の一連の動きをまとめてみよう。
8月初め、拘束中の米女性記者2人の解放を実現したビル・クリントン元大統領の電撃的訪朝の“成果”を踏まえて、オバマ大統領は、9月20日放送のCNNテレビで、「金正日総書記は健康を回復し、権力を掌握しているようだ」として、「北朝鮮の対応には変化が見られる。今後、何らかの進展が期待できる」と述べた。23日の米中首脳会談でも、胡錦涛主席に米朝直接の意思を表明した。
8月中旬には、玄貞恩「現代グループ」会長が訪朝して金正日氏に面会、金剛山と開城の観光・合弁事業再開で合意、さらに故・金大中大統領の葬儀には金巳男党書記らの高官弔問団をソウルに派遣、李明博大統領を表敬訪問した。離散家族再会の再開も決まった。
中朝の動きも活発だ。8月の武大偉外務次官(6者協議議長)、9月中旬、胡錦涛主席の信任厚い戴秉国国務委員、続いて10月初旬、温家宝首相が訪朝。真打の温家宝首相との会見で、金正日総書記は、「米朝協議次第で、6者協議を含む多国間交渉に参加する」と発言。一時の強硬姿勢は影をひそめた。金総書記は健康をほぼ回復、意思決定のプロセスも正常に戻って、北朝鮮は対話路線に復帰したと見てよい。
この間、日中韓の3国を歴訪したボスワース朝鮮半島担当特使は、10月中にも訪朝し、オバマ政権発足後初の米朝協議が始まる見通しを明らかにしている。
北朝鮮からすれば、半世紀を経てなお休戦状態にある「朝鮮戦争」の交戦相手は(韓国軍ではなく)米軍であり、現在なお朝鮮半島の平和と安全保障を仕切っているのは米国。核・ミサイル開発を進めてきたのもすべて米国との駆け引きのためだっただけに、最終的に「朝鮮半島非核化」に応じるにせよ、まず米国との合意が先決という立場だ。北にとって、6者協議は米朝合意の確認の場にすぎない。「一にアメリカ、二にもアメリカ」なのだ。