2008年10月20日
日本が国連安保理非常任理事国に選出されたことの意味
日本は、10月17日の国連総会で、2009年1月から2年間の任期で、アジア枠から安保理非常任理事国に選出された。日本が1956年に国連に加盟して以来、非常任理事国を務めるのはこれで10回目、全加盟国中で最多となる。まさに非常任の“常連”だ。
日本が獲得した票数は158、アジア枠の対抗馬イランは32票。当選に必要な3分の2の多数をはるかに上回る支持を得たが、日本の多選は国連民主化の理念に反する。イランは、1955年に一度非常任理事国に選ばれただけで、イランの国連大使は投票前、「国連加盟192カ国のうち、140カ国が一度も安保理に名を連ねたことがないか、あるいはあっても一度だけだ」と語り、日本の多選を批判した。
そもそも日本は、つい2年前の2006年まで2年間非常任理事国の任にあり、今回の立候補は本来立候補するはずだったモンゴルを説得して辞退させ、いわば強引に再立候補したという経緯がある。何としても常任理事国入りのための実績づくりがしたかったのだ。常任理事国になれないなら、せめて非常任の座をできる限り“占拠”しようという作戦だが、問題は、理事国として何をするかであり、いつも安保理に名を連ね、その場にいればよいというものではない。
この点について10月18日付の『朝日新聞』朝刊は、社説で、「最優先に取り組むべきは、核軍縮と不拡散だ」と主張しているが、見当違いもはなはだしい。安保理は核軍縮や不拡散を論じ、実現する場ではない。そのためには、NPT再検討会議(次回は2010年)とジュネーヴ軍縮会議が存在する。
安保理は、「国際平和と安全を脅かし、破壊する行為」にどう対処するかを協議し、具体策を打ち出す場である。過去1年間、安保理が取り上げた議題はほとんどすべてアフリカと中東の紛争処理に終始している。安保理で日本に求められているのは、紛争処理のためにアイディアを出し、国際社会の意思を集約することであることを忘れてはならない。
【10月20日フジテレビ「めざましテレビ」出演の際の発言要旨】