2009年4月07日
「核廃絶にともに行動を」/”核なき世界”実現を明示したオバマ演説
日本国民が北朝鮮のミサイル(人工衛星)発射をめぐる”から騒ぎ”にうつつを抜かしている時、オバマ米大統領がチェコの首都プラハで重要演説をした。
「米国は、核のない、平和で安全な世界を追求していくことを明言する」と述べ、さらに「世界で唯一、核兵器を使用した米国には、核拡散防止のために行動する同義的責任がある」と断言した。戦後の米国史上、原爆投下をめぐって自国の道義的責任を認めた大統領は、バラク・オバマが初めてだ。
「核なき世界」の実現はオバマの選挙運動中からの公約だったが、これを就任後初の外遊中、しかも旧東欧の首都で、市民を前にフォローアップしたあたりは、心憎いまでのパフォーマンスだ。オバマは、「核廃絶の実現は私の生きている間は不可能だろう。しかし”Yes, we can.”(我々にはできる)と言おう」と結んだ。お見事だ。
オバマ大統領が演説で列挙したCTBT(包括的核実験禁止条約)発効、カットオフ(軍事用核物質生産禁止)条約締結はじめ、朝鮮半島非核化、イランの核開発中止など、いずれも容易ではない。しかし、今年末で期限の切れる米ロ戦略核削減条約に代わる新条約締結のための交渉開始で、すでに米ロが合意していることは好ましい兆候である。今後の推移を見守ろう。