2009年7月15日
核弾頭搭載の米艦船の寄港は「非核三原則」違反に非ず
核弾頭搭載の米艦船の寄港を認めた日米”密約”の存在が改めて論議の的になっている。従来沈黙を守っていた元日本政府高官の暴露で、日米”密約”の存在は今や否定できない事実だ。
「米側からの事前協議の申し入れはない以上”持ち込まれて”おらず、「非核三原則」違反はない。”密約”は存在しない」という日本政府の公式見解は空々しい。古くは、ラロック証言、ライシャワー証言など、米側の暴露で日本政府の見解はすでに虚偽と判明していたが、村田良平元外務事務次官はじめ歴代次官・高官の裏付け証言で、”持ち込み”は今や既定の事実になった。
問題は、一時寄稿が”持ち込み”に該当するかどうかだ。ライシャワー証言も、「搭載したままの寄稿」は「持ち込み」(英語では introduction )には当たらないという趣旨だった。英語の introduction は、「持ち込んで、備え付ける」というニュアンスで、一部で提唱されている日米間の nuclear sharing (核の共同管理)はまさに introduce の意味での「持ち込み」だが、米艦船がが横須賀、佐世保、那覇などに、補給や乗員の休息などのために寄港する際、核弾頭が搭載されたままになっていても、日本国に「持ち込んだ」とは言えない。
「非核三原則」の「持たず、造らず、持ち込ませず」の「持ち込ませず」は、英語で言えば ”not allow the introduction of nuclear weapons (war heads)” 「持ち込んで、備え付けるのを許さない」と解釈すべきた。NPT(核不拡散条約)が非核兵器国に対して禁じているのも、「核兵器の取得・製造・移譲(を受けること)」であり、艦船の寄港のための一時的持ち込み状態はそのどれにも当たらないというのが公式解釈だ。
いずれにせよ、日本政府は日米間に密約が存在していたことを認め、改めて一時的寄港は「非核三原則」に抵触しない点を鮮明にすべきだ。核弾頭を上陸させて、備え付ければ、話は別である。私は、日米の nuclear sharing には断固反対である。北朝鮮の”脅威”に直面しているからといって、この種の対抗措置をとるのは北東アジアの緊張を高め、地域の平和をますます危うくし、“負の連鎖”を招く結果になるからだ。北朝鮮の”脅威”の実体を検証して、これを排除するために外交努力を傾注すべきだ。