2012年6月14日
シリア当局の残虐行為を阻止できない国際社会
遠い中東の一地域の出来事なので、日本人の関心は希薄だが、シリア国民の犠牲に、シリア政府がほおかむりし、内戦状態を放置している罪は重い。過去数カ月間に推定1万4000人が政府軍の銃砲撃で紫桜しているとされているのに対し、政府当局が「テロリストの仕業」と抗弁しているのは、無責任きわまりない。
国際社会が無力で、これを座視傍観さざるをえないのがなにより歯がゆいが、国連が内政不干渉の原則を守らねばならないのが国際社会最大の欠陥だ。安保理の「常任理事国5大国一致の原則」が災いの元凶だ。安保理の「拒否権」を含む特権行使の制限にメスを入れねばならないが、「国家主権」絶対の国際関係を変えるには長い時間がかかるだろう。
シリアの場合は、安保理による制裁に反対しているロシアと中国の態度変更を待たねばならない。ロシアと中国は常任理事国で、「拒否権」を保有すているからだ。
いずれにせよ、流血の惨事を即時止めさせることが先決だ。国際社会がシリアと中ロ両国との武器取引を止めさせられないのも悩みのタネ。アサド政権をうまくだます口実はないもんか。